第5章 保険の周辺知識の勉強のポイント

保険の周辺知識について

第5章の「保険の周辺知識」は、本試験で4問・8点の分野です。賠償責任・相続・税金・共済の基本が出題されます。

ここでは、第5章 保険の周辺知識で繰り返し問われている論点を、「問われること」「覚えること」「取り違えやすい点」の順にまとめています。

赤字の部分を中心に覚えておきましょう。

1. 不法行為責任と債務不履行責任

【問われること】2つの責任の違いと、立証するのはどちらか。

【覚えること】不法行為責任(民法709条)は、故意または過失で他人の権利などを侵害した者が負う責任で、被害者が加害者の故意・過失を証明します。債務不履行責任(民法415条)は、契約上の義務を果たさなかった債務者が負う責任で、債務者が自分に責任がないことを証明しない限り責任を負います。賠償は金銭が原則です。

【取り違えやすい点】契約関係を前提とするのは債務不履行で、不法行為は前提としません。入れ替えた文や、「被害者は故意・過失を証明しなくてよい」「債務者は責任を免れることがいっさいできない」は誤りです。

2. 過失相殺と失火責任法

【問われること】賠償額の減り方と、失火の延焼で責任を負う場合。

【覚えること】被害者にも過失があれば、その割合分を差し引いて賠償します(過失相殺)。賠償責任保険の保険金は、減らした後の賠償額について支払われます。過失による火事(失火)の延焼には、民法より優先して失火責任法が適用され、重過失の場合に限り賠償責任を負います。放火など故意の場合は民法の不法行為です。損害保険会社の賠償責任保険は、加害者の賠償責任を補償することで、結果として被害者の救済を図っています。

【取り違えやすい点】軽い過失の失火なら隣家から賠償は期待できないので、自分の家財は自分の保険で備えます。「重過失でも責任を負わない」は誤りです。

3. 相続人の順位と法定相続分

【問われること】誰が相続人になり、どれだけ受け取るか。

【覚えること】配偶者は常に相続人です(内縁の配偶者は相続権なし)。
・第1順位 子: 配偶者1/2・子1/2
・第2順位 直系尊属(父母など): 配偶者2/3・直系尊属1/3
・第3順位 兄弟姉妹: 配偶者3/4・兄弟姉妹1/4
同じ順位の人が複数いれば均等に分けます。子が亡くなっていれば孫が、兄弟姉妹が亡くなっていればその子(甥・姪)が代わって相続します(代襲相続)。

【取り違えやすい点】子がいれば父母は相続人になりません。兄弟姉妹は第3順位で、子も父母もいなければ相続人になります。配偶者と父母の割合(2/3と1/3)を逆にした文が出ます。

4. 遺言・遺留分と、相続の承認・放棄

【問われること】遺留分の意味と、相続するかどうかの選び方。

【覚えること】遺言は方式が厳格に定められており、遺留分(配偶者・子・親など一定の相続人に保障される最低限の割合)を侵さない限り、財産を自由に処分できます。相続は、すべて受け継ぐ単純承認、相続した財産の範囲内で債務を払う限定承認、何も受け継がない放棄から選べます。遺産の分け方は、遺言・協議・家庭裁判所の3つです。

【取り違えやすい点】最低限の割合は「遺留分」で、「指定相続分」(遺言で指定した相続分)とは別です。遺言の方式に「法律上の定めはない」とする文は誤りです。

5. 死亡保険金にかかる税金

【問われること】契約者・被保険者・受取人の組み合わせと税の種類。

【覚えること】(契約者が保険料を負担している場合)
・契約者=被保険者、受取人=相続人 → 相続税(非課税枠あり)
・契約者=受取人、被保険者は別の人 → 所得税(一時所得)
・3人とも別の人 → 贈与税
非課税枠は500万円×法定相続人の数で、受取人が相続人の場合だけです。一時所得は、保険金から払込保険料と特別控除50万円を引いた額で、課税されるのはその2分の1です。贈与税は、保険金から基礎控除110万円を引いた額にかかります。死亡保険金・死亡退職金は相続税の対象(みなし相続財産)です。

【取り違えやすい点】夫が契約者・受取人で妻が被保険者なら所得税、夫が契約者で妻が被保険者・子が受取人なら贈与税です。非課税枠は「受取人1人につき500万円」ではありません。

6. 非課税になる給付金と、損害保険の保険金

【問われること】税金がかからない保険金・給付金。

【覚えること】高度障害保険金・障害給付金・入院給付金などは、受け取る人が被保険者本人、その配偶者・直系血族・生計を一にする親族なら非課税です。損害保険で「モノ」の損害や賠償責任について支払われる保険金は、利得が生じないので原則非課税です。傷害保険の後遺障害・入院・通院保険金も非課税です。

【取り違えやすい点】傷害保険の死亡保険金は、生命保険と同じく、契約の形によって相続税・所得税・贈与税の対象になります。

7. 共済の監督官庁と商品

【問われること】共済団体ごとの監督官庁と、代表的な商品。

【覚えること】共済事業は、職業・職場・地域などでつながった協同組合などが、構成員のために掛金を受けて共済金を払う相互扶助の制度です。JA共済連は農業協同組合系で、営利を目的とせず、農林水産省・都道府県が監督します。生協(こくみん共済coop〈全労済〉、県民共済など)は厚生労働省・都道府県が監督します。

【取り違えやすい点】JA共済連の監督を「金融庁」、生協の監督を「農林水産省」とする文は誤りです。終身共済・養老生命共済・建物更生共済はJAの商品で、こくみん共済coopの商品ではありません。