協会の受験対策問題集(全167問)では、リスクの分類を扱う頁から4問が出ており、「この損失はどの分類か」を問う形が目立ちます。分類の名前を覚えるだけでなく、具体的な損失を分類に当てはめられるようにしておきましょう。
スポンサーリンク
リスクは「不確実さ」があるから保険の対象になる
リスクとは、偶然の出来事によって損失が生じる可能性のことです。要になるのは「起きるかどうか分からない」という点で、将来の損失が不確実であることがリスクの前提になっています。起きるかどうか分からないからこそ、多くの人が少しずつ保険料を出し合い、実際に損失を受けた人に回すしくみが成り立ちます。
リスクは事故や病気だけではありません。平均寿命が延びたことで、長く生きることに伴う「長生きリスク(生存リスク)」も、個人にとって大きなリスクとして扱われます。
3つの分類は「何がきっかけの損失か」で考える
リスクは物的リスク・人的リスク・賠償責任リスクの3つに分けられます。見分けるときは、損失のきっかけが「モノ」「人」「他人への責任」のどれにあるかを考えます。
人的リスクは、世帯主や家族、企業の経営者が亡くなったり病気やケガをしたり、従業員が労災事故で死傷したりして、家庭や会社が経済的な損失を受ける可能性です。賠償責任リスクは、他人に損害を与えて賠償しなければならなくなる可能性です。
迷いやすいのは、モノの損害に「付いてくる」損失です。火事で家が焼けたあと、建て直すまでの仮住まいの家賃は、家というモノの損害から生じた費用リスクです。店が火事で営業できなくなり利益が減る休業リスクも、店というモノの損害がきっかけです。どちらも物的リスクに入ります。
スポンサーリンク
リスク対策は「頻度」と「損害の大きさ」で選ぶ
リスクへの対処には、防止と軽減、移転、保有の3つがあります。最初に考えるのは、損失そのものを起こさない・小さくする「防止と軽減」で、これがリスク対策の基本です。そのうえで残ったリスクを、保険に移す(移転)か、自分で負担する(保有)かを決めます。
使い分けの目安は、起きる頻度と損害の大きさです。日常的によく起きるが損害の小さいものに保険を付けても、経済的とはいえません。こうしたものは自分で負担する保有が向いています。めったに起きないが、起きると家計や経営が立ち行かなくなるほどの損害には、保険で移転するのが合理的です。
募集の場面でどう使うか
少額短期保険の商品も、この3分類に当てはめて考えられます。家財保険やテナント保険は物的リスク、死亡保険や医療保険は人的リスク、個人の賠償責任保険は賠償責任リスクに備える商品です。
募集人には、顧客のライフサイクルや生活環境の変化から、その人が抱えるリスクを想定して保険を設計することが求められます。顧客がまだ気付いていないリスクについて保険を提案することも、顧客満足のための大切な活動です。「頼まれていないリスクは勧めてはいけない」という考え方ではありません。
取り違えやすいところ
- 費用リスクや休業リスクを「賠償責任リスク」とする文は誤りです。他人への賠償ではなく、自分のモノの損害から生じる損失なので、物的リスクです。
- 頻度が高く損害の小さいリスクを「移転」、頻度が低く損害の大きいリスクを「保有」とする、組み合わせを逆にした文がよく出ます。「損害が大きいほど保険に移す」と覚えると迷いません。
- 「防止と軽減はリスク対策に含まれない」とする文も誤りです。保険を付けることだけがリスク対策ではなく、防止と軽減が基本です。